

 
  当時“最先端のサウンド”だったファズの音。例えばジェフ・ベックの場合、彼がまだヤードバーズに在籍していた時代(1965・966年)にTONE BENDERと巡り会っています。65年の初夏、ゲイリー・ハーストが作ったファズ・ペダルの噂を聞きつけ、ゲイリー・ハーストが職場を構えていた楽器店の修理工房まで直に脚を運んだジェフ・ベックは「僕もアレが欲しいのだけど」と言いTONE BENDER MK1を購入したそうです。ヤードバーズ時代のジェフ・ベックの演奏で明らかなファズ・サウンドが聴けるものとしては65年6月に発売されたシングル「HEART FULL OF SOUL」が有名ですが、ヤードバーズがTV番組に出演し演奏しているシーンにて、ジェフ・ベックの足下にTONE BENDER MK1があることが確認できます。
 当時“最先端のサウンド”だったファズの音。例えばジェフ・ベックの場合、彼がまだヤードバーズに在籍していた時代(1965・966年)にTONE BENDERと巡り会っています。65年の初夏、ゲイリー・ハーストが作ったファズ・ペダルの噂を聞きつけ、ゲイリー・ハーストが職場を構えていた楽器店の修理工房まで直に脚を運んだジェフ・ベックは「僕もアレが欲しいのだけど」と言いTONE BENDER MK1を購入したそうです。ヤードバーズ時代のジェフ・ベックの演奏で明らかなファズ・サウンドが聴けるものとしては65年6月に発売されたシングル「HEART FULL OF SOUL」が有名ですが、ヤードバーズがTV番組に出演し演奏しているシーンにて、ジェフ・ベックの足下にTONE BENDER MK1があることが確認できます。 
  また1965年、この年最もヒットを記録した曲のひとつに、スペンサー・デイヴィス・グループ「KEEP ON RUNNING」があります。イギリスではチャート1位を獲得したこの曲(元々は英国人レゲエ・ミュージシャンのジャッキー・エドワーズという人の曲のカヴァー)を歌ったバンドのヴォーカル兼ギタリストは当時まだ17歳だったスティーヴ・ウィンウッドでした。そして彼がこの曲の冒頭で荒々しくかき鳴らした強烈なファズ・サウンドは、TONE BENDER MK1を使用したものでした。
 また1965年、この年最もヒットを記録した曲のひとつに、スペンサー・デイヴィス・グループ「KEEP ON RUNNING」があります。イギリスではチャート1位を獲得したこの曲(元々は英国人レゲエ・ミュージシャンのジャッキー・エドワーズという人の曲のカヴァー)を歌ったバンドのヴォーカル兼ギタリストは当時まだ17歳だったスティーヴ・ウィンウッドでした。そして彼がこの曲の冒頭で荒々しくかき鳴らした強烈なファズ・サウンドは、TONE BENDER MK1を使用したものでした。 それから、まだ10代でありながらもこの頃若き腕利きセッションマンとして知られたジミー・ペイジの場合。米国のベンチャーズ「THE 2000 POUND BEE」(62年発表)という曲で使われたファズ(そのファズはカスタムメイドでした)のサウンドを聴いてノックアウトされたペイジは、その歪みサウンドがどうしても欲しいと考えるようになり、知人だった電子機器エンジニアにオリジナルのファズをカスタムメイドしてもらっています。これは1964年のことで、作った技師はロジャー・メイヤーでした。後にジミ・ヘンドリックスの為にあらゆる機材を提供した伝説の技師としても有名かと思われます。ジミー・ペイジはそのカスタムメイドのファズをセッションで何度か使いましたが、66年になるとゲイリー・ハーストが制作した英国オリジナル・ファズ TONE BENDERを入手、以降ヤードバーズ<レッド・ツェッペリンの時代に至るまでそれを使用しました。69年の雑誌のインタビューにてジミー・ペイジは「僕のギター・サウンドの75%はTONE BENDERで出来ている」という発言も残しています(註:ただし彼がここで指しているTONE BENDERは、65年発売のMK1ではなく、66年発売のMK2を指します。詳細は別途後述します)。
  それから、まだ10代でありながらもこの頃若き腕利きセッションマンとして知られたジミー・ペイジの場合。米国のベンチャーズ「THE 2000 POUND BEE」(62年発表)という曲で使われたファズ(そのファズはカスタムメイドでした)のサウンドを聴いてノックアウトされたペイジは、その歪みサウンドがどうしても欲しいと考えるようになり、知人だった電子機器エンジニアにオリジナルのファズをカスタムメイドしてもらっています。これは1964年のことで、作った技師はロジャー・メイヤーでした。後にジミ・ヘンドリックスの為にあらゆる機材を提供した伝説の技師としても有名かと思われます。ジミー・ペイジはそのカスタムメイドのファズをセッションで何度か使いましたが、66年になるとゲイリー・ハーストが制作した英国オリジナル・ファズ TONE BENDERを入手、以降ヤードバーズ<レッド・ツェッペリンの時代に至るまでそれを使用しました。69年の雑誌のインタビューにてジミー・ペイジは「僕のギター・サウンドの75%はTONE BENDERで出来ている」という発言も残しています(註:ただし彼がここで指しているTONE BENDERは、65年発売のMK1ではなく、66年発売のMK2を指します。詳細は別途後述します)。 ジミー・ペイジは2008年公開の映画『IT MIGHT GET LOUD(邦題:ゲット・ラウド)』の中でも、質問に答える形で当時のTONE BENDERの歪み、という話を60年代当時を懐かしむように残しています。
ジミー・ペイジは2008年公開の映画『IT MIGHT GET LOUD(邦題:ゲット・ラウド)』の中でも、質問に答える形で当時のTONE BENDERの歪み、という話を60年代当時を懐かしむように残しています。 また、上記したギタリスト程にはダイレクトにTONE BENDER使いというイメージが湧かないかもしれませんが、初代TONE BENDER(=MK1)を使用したギタリストにはザ・フーのピート・タウンゼンドもいます。ギターを叩き折り、アンプを木っ端みじんに破壊するといったステージ・アクションでもお馴染みとなった65・6年当時のピートでしたが、彼のリクエストに沿う形でマーシャルやハイワットが続々と新機材を開発・提供していた、ということも有名かと思われます。つまりピート・タウンゼンドが「どんな音をどう提供するか」を常に意識していたことの現れだと言えるでしょう。当時ザ・フーのステージではほとんどがギターとアンプ直結というセッティングでライヴを行なう機会が多かったようですが、彼も何度かファズ・サウンドをステージにて披露していました。彼はTONE BENDERだけでなく、その後もいくつかファズを試していますが、残されているザ・フーのステージ写真の年月日から判断するに、最初にTONE BENDER MK1を、続いてマエストロFUZZ TONE FA-1A、マーシャルSUPA FUZZ、ダラス・アービターFUZZ FACE、ユニボックスSUPER FUZZ、という順で入手・使用したと考えられます。
 また、上記したギタリスト程にはダイレクトにTONE BENDER使いというイメージが湧かないかもしれませんが、初代TONE BENDER(=MK1)を使用したギタリストにはザ・フーのピート・タウンゼンドもいます。ギターを叩き折り、アンプを木っ端みじんに破壊するといったステージ・アクションでもお馴染みとなった65・6年当時のピートでしたが、彼のリクエストに沿う形でマーシャルやハイワットが続々と新機材を開発・提供していた、ということも有名かと思われます。つまりピート・タウンゼンドが「どんな音をどう提供するか」を常に意識していたことの現れだと言えるでしょう。当時ザ・フーのステージではほとんどがギターとアンプ直結というセッティングでライヴを行なう機会が多かったようですが、彼も何度かファズ・サウンドをステージにて披露していました。彼はTONE BENDERだけでなく、その後もいくつかファズを試していますが、残されているザ・フーのステージ写真の年月日から判断するに、最初にTONE BENDER MK1を、続いてマエストロFUZZ TONE FA-1A、マーシャルSUPA FUZZ、ダラス・アービターFUZZ FACE、ユニボックスSUPER FUZZ、という順で入手・使用したと考えられます。 しかし、再びロンドンに出るとすぐにミック・ロンソンの運命が変わります。彼はデヴィッド・ボウイのバンドに参加することになったからです。ミック・ロンソンは「やはりあのファズとワウを使おう」と考えを改め、知人からそれらを買い戻しています。以降そのTONE BENDER MK1は70年代にデヴィッド・ボウイが生み出した数多くのグラム・ロックの名盤/名演で実際に使用されました。繰り返しになりますが、そのTONE BENDERはピート・タウンゼンドが初めて入手したモノと全く同じ個体だったのです。(この項続く)
 しかし、再びロンドンに出るとすぐにミック・ロンソンの運命が変わります。彼はデヴィッド・ボウイのバンドに参加することになったからです。ミック・ロンソンは「やはりあのファズとワウを使おう」と考えを改め、知人からそれらを買い戻しています。以降そのTONE BENDER MK1は70年代にデヴィッド・ボウイが生み出した数多くのグラム・ロックの名盤/名演で実際に使用されました。繰り返しになりますが、そのTONE BENDERはピート・タウンゼンドが初めて入手したモノと全く同じ個体だったのです。(この項続く)TATS
(BUZZ THE FUZZ)
 
ミック・ロンソンに惚れてから、延々とTONE BENDERの魔界を彷徨う日々を送る、東京在住のギター馬鹿。ファズ・ブログ「BUZZ THE FUZZ」主筆。スペインMANLAY SOUNDとの共同開発で各種TONE BENDERのクローン・ペダルを企画・発売すると同時に、英JMI~BRITISH PEDAL COMPANYでのTONE BENDER復刻品の企画・発売にも協力。季刊誌「THE EFFECTOR BOOK」(シンコーミュージック刊)ではデザインを担当。