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1973年に「近未来型エレキ」として産声を上げ、ギブソンの新しいソリッド・モデルとして期待された[L-6S]だったが、その生産は1978年で終了している。モデル・バリエーションは、カスタム、デラックス、ミッドナイト・スペシャルの3種類がラインナップされた。ボディとネックは共にメイプル材を用い、両者ともに3ピース・ラミネイト構造を採用。特筆すべきは、当時としては珍しかった24フレット仕様を採用していたことであろう。また、ボディ形状もレス・ポールに比べて薄めで、これはメイプル材のみだと重くなりすぎることを計算したためと思われる。ペグには精度の高いシャーラー製のものを採用。ギター自体が軽量で、質実剛健なパーツを使用することで、アクティブな演奏にも耐えうる構造となっていた。
ピックアップは、現在メジャー・ブランドとなっているビル・ローレンスが設計したスーパー・ハムバッキングを搭載。セラミック・マグネットを採用し、ビル・ローレンスのお家芸となっているバー・ボビンは本機では使われておらず、12個独立型のボビンを有する。ボビンはメタル・カバーから露出されておらず、見た目がフラットなところが特徴となっている。二つのハムバッカーPUは、6ウェイのロータリー・スイッチにより、フェイズ・アウト/インなど、さまざまなコイルの組み合わせを選択可能となっていた。
- Position#1 フロント/リアPUの直列
- Position#2 フロント・ピックアップ
- Position#3 フロント/リアPUの並列
- Position#4 フロント/リアPUの並列+フェイズ・アウト+キャパシター
- Position#5 リア・ピックアップ
- Position#6 フロント/リアPUの直列+フェイズ・アウト
この多彩なピックアップの組み合わせに加え、ミッド・レンジ・コントロールを備えていたところが本器の特徴。このコントローラーは、1.8ヘンリーのチョーク・コイルとキャパシターで構成されたLCネットワーク回路から成り、言わばES-355などに搭載されているヴァリトーン・スイッチと似た効果が得られた。 発売間もない頃、カルロス・サンタナとアル・ディ・メオラがギブソン社とエンドースしていた関係で[L-6S]を使っており、若き日のサンタナがナチュラル仕様のものを弾いている写真を見たことがある人も多いことでしょう。70年代に席巻したプログレッシブ・ジャズ・シーンで使われるケースもあったが期待以上の人気とはならず、その後、古き良きギブソンの代表モデルに押し出される形で、残念なことに生産終了を余儀なくされてしまった。 [L-6S]と同じようにアイディアに革新性があったものの、短命に終わったモデルたちがいる。それらはRDシリーズやマローダー、S-1、カーバスといった面々。これらのモデルは、B級好きのコレクターたちの心を鷲掴みにしており、密かなビザール・ブームを巻き起こしそうな予感が!? まさにレジェンダリ〜! |
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プロフェッサー岸本:プロフィール平成8年入社。ヴィンテージ・ギターに関しての知識はイシバシでNo.1! プロ・ミュージシャンのお得意様も多く、彼のマインドに惚れ込み、多数お店に通っていただいている。また、英語力もまずまずのため、直接ギター工場のマスター・ビルダーたちと話し合いすることも。彼自身のフェイバリット・ミュージックはカントリー・ロック、ブルーグラスなど。
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