Gibson Acoustic Guitar Montana Factory Tour in Oct 2013

Gibsonのアコースティックギター生産拠点はKalamazoo、Nashvilleを経て、1989年に設立されたMontana工場で現在もなお素晴らしいアコースティックギターを生産し続けています。

元々バンジョーやマンドリンを中心につくられていたGibsonは、時代とともにその時代々々に合ったBody Shapeを生み、各々異なったサウンドを生み出してきました。

現在もなお世界中の多くの人々に愛され続けているGibsonアコースティックの現在の生産拠点「モンタナ工場」での各工程をリポートいたします。

Introduction

Gibsonのモンタナ工場は、アメリカ合衆国モンタナ州ボーズマンに拠点を構えています。

カナダとの国境に接するこのモンタナ州は、東部は平地、西部は広く聳え立つロッキー山脈といった地形で、ボーズマンはロッキー山脈のすそ野に位置し、広大な自然に囲まれた環境です。

現在Gibsonモンタナ工場では120人ほどのスタッフが稼動しており、1日80本というペースでアコースティックギターを生産しています。

”Front Plant””Back Plant”

Gibson Acousticモンタナ工場は、大きく”Front Plant”と”Back Plant”に分かれています。

”Front Plant”では塗装・仕上げの工程を、”Back Plant”では木材の整形やBody・Neckの組み込みなどの工程を行うところになります。

また、それとは別に”Artist Shop(Custom Shop)”なる部屋が工場内には存在します。ここでは2人のマスタールシアーが常駐し、Artistモデルやオーダーモデルの考案・プロトタイプの製作などが行われています。

Master Shop Jason Jones氏にご案内頂きました。

今回工場内を案内して頂いたのは、Master ShopのJason Jones氏。彼は1989年のモンタナ工場設立1日目からこの工場で働き、工場内の全ての工程を経験し、現在は工場内のArtist Shopに常駐しています。

それでは、これから各工程を詳しく見ていきましょう!

Back Plant(Resaw、Neck Line、Body Line ...etc)

1.Supermarket(貯蔵エリア)

Back Plantには各工程に”Supermarket”と呼ばれている貯蔵エリアがあります。

ここにはBody材、Neck材、指板材、ブレーシング材、カーフィング材などが各所に貯蔵されています。

特に整材前の木材は貯蔵とともにシーズニングがされ、通気性をよくするために各木材の間には”スティッカー”を挟んでいます。

工場内は湿度約40%に保たれており、シーズニングに最適な環境になっています。

各木材は、種類だけでなくグレード分け(AAグレード、AAAグレードなど)もされて保管されています。

モデルによって使用されるグレードも変わり、さらにはグレードによって採用されるカラーも違ってきます。例えば、AAフレーム・メイプルは各カラーモデルに、AAAフレーム・メイプルはナチュラルに採用されます。

各木材の主な生産地は、

  • Spruce・・・アメリカ・カナダ産
  • Maple・・・北米、西アメリカ産
  • Mhogany・・・南米産
  • Rosewood・・・インド産

となっています。

もちろんこれら以外にもKoa材、ブビンガ材、キルテッド・メイプルなどExisotic Woodも取り扱っています。

これら木材は”Wood Vendor(ベンダー)”から仕入れています。

ベンダーとの木材仕入れには3人の職人が見極めをしています。昔は1年ぐらいかけて”Wood Grading”を見極めしていましたが、ベンダーからある程度のグレード材を仕入れることで生産性の効率が上がっています。

ベンダーはこのモンタナ工場にも出向いてGibson社との情報共有をしており、高い信頼性も窺えます。

2.Resaw (整材)

各工程に進む前に、仕入れられた木材は”Sanding Machine(サンディング・マシーン)”にかけられ、厚さを均一にしていきます。

Gibsonアコースティックでは、Body材は”Book Match”を採用しています。

MachingされたTop材には職人の手によりロゼッタが施され、その後さらにまたサンディングにかけられます。

3.Neck Line

ここにもある程度切り出しされたNeck材が貯蔵されているSupermarketがあります。

各Neck材にはブロック部に”Neck Date”がスタンプされています。

このNeck材に、職人の手によって”Ajustable Trass Rod(トラスロッド)”が組み込まれていきます。

トラスロッドがNeck材の溝にはめられた後、木工用タイトボンドで最終的に組み込まれます。

次にNeck材は”CNC Milling Machine”にかけられ、Neck Profileの削りだし、ヒール加工などが行われていきます。

その後、ヘッドの削り出し、ペグの穴あけ、ヘッドインレイの削り出しが行われていきます。

そして、これが”Dovetail Cutter”です。これはカラマズー時代からず~~っと使い続けられているマシーンです。

モーター交換ぐらいのメンテナンスは行っているようですが、長年稼働している耐久性も驚かされます!

このマシーンを使って、Gibaonアコースティックの伝統的な”Dovetail”部分を削り出していきます。

ここで指板のほうに移りましょう。

マシーンによって各指板に”Radius(R)”がつけられ、インレイの削り出しも行い、各種ポジションインレイが職人の手によって組み込まれていきます。

その後、職人の手によって”フレット”が打ち込まれていきます。

フレット打ち込み時は、注射器のような器具に接着剤を入れ指板溝につけてからフレットを打ち込んできます。

Gibsonでは「接着剤でフレットをつける」という考え方ではなく、「木に馴染ませる」ための接着剤を使用するという考え方です。

そして、指板をNeckに接着していきます。

Gibsonアコースティックギターでは、Neck及び指板には”Index Hole”があります。これは指板とNeckの接着の際の”位置決め”のために施されています。

指板のほうにはプラスティックのパーツ(突起物)が埋め込まれ、Neck側のIndex Holeにハメ込んでいきます。

最終的に”Neck Air Press”によって指板とNeckが接着されます。

Index Holeで位置決めし、接着剤で指板とNeckが接着された後、この器具で”空気圧”を調整し、最終的な接着になります。

このようにNeckプロセスが進めら、ここの終了までに”シリアル”が決められます。

ここまででできたNeckがBodyに組み込まれていくのは1~2日後になります。

4.Body Line

ここからはBody製作のほうに移りましょう。

もちろんこちらのエリアにもBody製作に関わる”Supermarket”があります。

Body Ribs(Side)材はまずこの中で柔らかくさせます。

この桶の中には、水とファブリックソフナーを混ぜ合わせた液体が入っており、この中にBody Ribs材を入れ、曲げやすくさせます。

材の種類によってつけ時間はまちまちで、例えば油分が多いインディアン・ローズウッドは1~1.5時間つけ、ドライなホンジュラス・マホガニーは15~20分つけるといった具合です。

その後、高圧なプレス器によってBody Ribsが整形されていきます。

次に、左右Body Ribsを”Head Block”と”Tail Block”を介して、クリップでくっつけ合わせます。

そして、Body Ribsの淵(Body Top材とBack材を貼り付ける部分)に”カーフィング”をクリップで取り付けていきます。

このカーフィングは、以前はスパニッシュ・シダーやバスウッドを使用していましたが、現在は”マホガニー”材を採用しています。

このカーフィングもベンダーから仕入れています。

その後、こちらのマシーンにかけて、Top材とBack材を張り合わせるための面を整形していきます。

Top面は28foot Radiusで、Back面は12foot Radiusです。

一方、Top材とBack材のプロセスを見てみましょう。

まず、各モデルのTop/Back形状(J-45に代表されるラウンドショルダー型やHummingbirdんどのスクエアショルダー型、スモールBody型など)はどのように型取られていくのでしょうか?それは2通りあります。

1つは、このCNCマシーン”Multi Cam”で、各プレートに材を載せてバキュームで固定し、形状に沿ってカットしていくやり方。

もう1つは、別室でコンピュータから各モデルのデータをマシーンに送信して、レーザーでカットするやり方です。

このTop/Back面の型取りの際に、Neck/指板の時にもあった”Index Hole”もつけられていきます。

その次に、Top/Back材にブレーシングを貼っていきます。

以前は工場内でブレーシングまで作っていましたが、現在は主にベンダーから仕入れて、生産効率を上げているそうです。

Rのついたブレーシング(これも相まってGibsonアコースティックギターのDomed Topが作り上げられていきます)を貼り付けて、バキュームをかけていきます。

Topブレーシングは3つに分けられます。

  1. ブリッジ下の固いメイプル材。(他にスプルース材が使用されることもある)
  2. Structureブレース(Xブレース、Crossブレース、Wingブレース...)
  3. Tonalブレース(このブレースによって、それぞれバイブレーションが違う低音サウンド・高音サウンドを作り出していきます)

その後、Top面/Back面をBody Ribと貼り合わせる為に、カーフィングの所々に溝を掘っていきます。

これはブレーシングの端がBody Rib及びカーフィングと重なり合うところを調節しなければならないためです。

このようにBodyのTop/Side/Backを貼り合せた後、バインディングを施す溝を掘っていきます。

今度はBody側にDovetailカッターをかけ、Neckジョイント部を掘っていきます。

そして、実際にバインディングを貼り合せていきます。

バインディングの白(クリーム)はセルロイドで、黒はプラスティックでできています。

バインディングは、アセトンに溶かしたセルロイドをGlue(グルー)として使い、接着していきます。その後、テープで固定し圧着させます。

最終的にNeckとBodyを組み合わせる前に、各チェックを行います。

Neckフィットアライメントでセンターずれしていないかを確認し、ピッチアライメントではギャップを正確にしNeck角度をつけて、NeckとBodyをDryフィットさせます。

その後、ヒールをカットし、Hide Glue(にかわ)でNeckとBodyを接着させ、10~15分ほどクランプで固定させます。

NeckとBodyを組み合わせる前もそうですが、組み合わせた後もギター全体をきれいにサンディングしていきます。

ここで使われているやすりは中目の#220です。

そして、塗装工程に行く前に”Filler”を塗る作業があります。いわゆる導管の”目止め”ですね。

このFillerはオイルベースのもので、3カラー(Rosewoodカラー、ナチュラルカラー、Darkカラー)あります。

このFillerが完全に乾いた後、塗装工程に移ります。

Front Plant(塗装、バフィング、Final Check …etc)

1.Checking

塗装工程前に女性Lisaによるコンディションチェックが行われます。クラック、傷などないか塗装前に入念にチェックがされ、指板にマスキング、ロゼッタにもラフマスキングがされます。

2.Finish (塗装)

まずは、カラー塗装(着色)に入り、4~6層施されます。

カラー塗装後、バインディング部を”スクレイピング”していきます。

カラー塗装はバインディングの上まで施されるので、バインディング部分を丁寧に職人の手によって削られていきます。

スクレイピングには、理科の実験でよく使われるルーペのようなものが使われます。その先で丁寧に削られていきます。

その後、サンディングも行われ、これから吹くラッカーを染み込みやすくさせます。

そして、ついにラッカーが吹かれていきます。

これは別室で行われ、クリアラッカーには7層吹かれますが、まずflow coatとして3層吹かれ硬化のために4日ほど休ませます。

その間にもサンディングは行われ、とにかくラッカーを染み込ませやすくしていきます。

塗装を乾かすために、ギターはベルトコンベアのようなものに吊るされ、部屋の中を行き来しています。

この時の訪問の際は、クリアラッカーに”VALSPAR”が使われていましたが、今後は寒いときに強くて調達しやすい”Sherman Williams”に変更されるとか。。。

このように塗装は7~8日かけられ、セットアップに移ります。

3.Setup セットアップ

まずはフリーセットアップで、ギターを水研ぎ研磨をします。

この際使うのは、dish wash(洗剤)と水を混ぜたもので、サンドペーパーは#800の後#1000を使っていきます。

その後、2種類のバフマシーンを使って塗装に艶(光沢)を出していきます。

このバフマシーンでは、赤(茶)と白(黄)のコンパウンド(ワックス)を使い分けています。

ちなみにVOS(Vintage Original Spec)仕様でも、クリア塗装の後の水研ぎバフ磨きまではグロスフィニッシュと同工程となります。

一度グロスの仕上がり感が出た後、VOSソース(コンパウンドのように微細なキズをいれる液体)を使い大きな布でふき取るように処理するか、もしくは粉末状の磨き粉とクロスで縦筋(キズ)をいれるか、の2通りのやり方があるそうです。

赤バフも使用し、その後ガラス磨きのようなスプレーを吹き、適度な光沢を出していきます。

VOSソースはメンフィス工場(セミアコやフルアコの製造工場)からの技術を取り入れているようです。

これにより、「新品だけれどもあたかも年月が経ち、使い込まれたかのような擦れが施され、つやを抑えた仕様」を実現できるのです!

次は、ブリッジの取り付けを見てみましょう!

まず取り付け前に、Bodyのindex holeを基準にブリッジ取り付け位置を定め、ブリッジの型に沿ってラッカーを剥がしていきます。

これはラッカーを介さず、ブリッジの木とBodyの木とを接着させる為です。これにより木と木の音の伝達が直接的になり、効果的な鳴りを実現してくれます!

その後、接着剤でブリッジを接着し、クランプで圧着させます。

その他、指板のサンディング、クリーニングも行います。

Gibsonアコースティックでは指板に染料は塗らず、磨くことで天然の指板材の杢目が堪能できます!

別室では、ペグ取り付け、弦の貼り付け、最終的なセットアップが行われていきます。

セットアップの各工程でチェック項目があり、札にチェックされていきます。

斉藤和義さんモデルのJ-45もありました!!

こうしてセットアップが成され、Final Checkも無事パスするとケースに保管されていきます。

Outro

1.Pick Guard

Back PlantとFront Plantとの間に”ピックガード”製作する部屋があります。

主には仕入れたピックガードの裏に、Bodyに貼り合わせるためのシールをピックガードの型に沿って貼っていきます。

中にはピックガード内に絵柄の型を彫る作業もあります。

ピックガードに関わる職人は3人いますが、そのうち2人はピックガードの”ハンドカット”もできるそうです。

2.Plek Machine

Gibsonではすでにエレクトリックギターで導入されている”Plekマシーン”

Plekマシーンでは、弦を張った状態のギターのNeckや指板で起こっていることをすべて数値化し、最適な状態にするようフレットの擦り合わせなども行われます。

なんとこのモンタナ工場でも導入されるとのこと。今回の訪問時ではまだ稼動していませんでした。

しかし、今回の訪問から帰国後、いつものようにGibsonアコースティックギターの検品をしているとこの札が!!!

たまたま紛れ込んでいただけなのですが、しっかりと”PLEK”のスタンプが押されていました!

いかがでしたでしょうか~~♪

このFactory Tour Reportで、少しでもGibsonアコースティックギターの素晴らしさを分かち合えたら幸いです。

この後は、石橋楽器店WEB SHOPが取り揃えているGibsonアコースティックギターラインナップからお客様にぴったりのギターに出逢えることを願っております。

お問い合わせもどしどしお寄せ下さい!心からお待ち申し上げております。