Legendary Guitar Title
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1966 Gibson Firebird

1966 Gibson Firebird / Headstock

1966 Gibson Firebird / Head Back
リバース期では段差が付くなど凝っていたヘッド・デザインが、ノン・リバースではシンプルになった。 リバース期で採用されたバンジョー・スタイルのペグは廃止され、通常のクルーソン・ペグを搭載。
1966 Gibson Firebird / Pickup

1966 Gibson Firebird / Bridge Tailpiece
ノン・リバースのファイアーバードIは、P-90を2発搭載。ちなみにIIIは3発マウントしていた。 ブリッジはストップ・バー・タイプで、テイルピースはマエストロ・ビブラートという仕様。
1966 Gibson Firebird / Control

1966 Gibson Firebird / Assy
フロントPUとリアPUに対して、それぞれにボリュームとトーンが付く。ジャックはトップ・マウント。 キャビティには、ノイズ軽減のために金属シールディング板がはめられている。
 

プロフェッサー岸本:プロフィール
平成8年入社。ヴィンテージ・ギターに関しての知識はイシバシでNo.1! プロ・ミュージシャンのお得意様も多く、彼のマインドに惚れ込み、多数お店に通っていただいている。また、英語力もまずまずのため、直接ギター工場のマスター・ビルダーたちと話し合いすることも。彼自身のフェイバリット・ミュージックはカントリー・ロック、ブルーグラスなど。

商品情報、スタッフ役職は、2007年時点のものです。

 1960年に入ると、ギブソン社は大幅なモデル・チェンジを行ない、新しいコンセプトのギターを世に送り出している。今回ご紹介するファイヤーバードもその代表格と言えるモデルだ。
 50年代はレス・ポール・モデルを代表とするエレキ・ギター・シーンを構築してきたギブソン社であるが、これらの伝統的なデザインは60年代に入ると古臭いものとして捉えられるようになった。かたやライバルのフェンダー社は当時、ジャズマスターやジャガー、ムスタングといった新しいコンセプトを持ったモデルを次々と発表。加えてレオ・フェンダー氏が「ギブソンのコンセプトは古い」というコメントをし、その発言を当時ギブソン社の社長を勤めていたテッド・マッカーティー氏の耳にも入った。このことも含めギブソン社は奮起し、新たなモデルの開発に取り掛かることになる。レス・ポールはSGへとモデル・チェジをし、さらにエクスプローラーやフライングVなどを発表。ただこの両機種は、当時としては10年先を行く斬新なデザインゆえに失敗に終わった。
 この失敗が教訓になったのかどうかはわからないが、ギブソン社は車のデザイナーであったレイ・デートリッヒを新たに招き入れて、新作を発表。それが1963年発売のファイアーバードである。同モデルはデザイン面においてはエクスプローラーに近いスタイリングながら、より流線的なフォルムに仕上げられ、初の試みであるスルーネック構造が採用された。デザインと構造の両方を刷新し、ギブソンとしては会心作になるはずだったが、問題が発生。オフセット・コンターによるボディのデザインがフェンダー社の特許に抵触するということで、モデル・チェンジを余儀なくされてしまう。よって1963〜65年にかけて作られた初期型は、後に「リバース」と呼ばれることになる。1965年にモデル・チェンジを行なったファイアーバードは、スルーネックを中止しセット・ネック構造を採用。加えてボディ形状も変更し、これらは後に「ノン・リバース」と呼ばれることになる。
 ノン・リバース型には、I、III、V、VIIという4種類のバリエーション・モデルが存在する。IとIIIにはP90、VとVIIにはミニ・ハムバッカーがそれぞれに搭載された。ちなみに4モデルすべてボディは共通しており、あらかじめ3個のピックアップがマウントできるように、PUキャビティはルーティングされていた。ノン・リバース型のファイアーバードは1969年まで生産され、中には超レア・モデルとして12弦モデルもラインナップ。当時、12弦エレキはリッケンバッカーが主導権を握っていたが、このモデルで対抗しようという狙いがあったのであろう。
 ボディ材にはマホガニーが使用され、シングルコイル構造ながら太くて温かみのあるサウンドが持ち味のP-90ピックアップとのマッチングにより、中音域が強調されたワイルドなサウンド・キャラクターとなり、攻撃的なロック・サウンドで威力を発揮。ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズとキース・リチャーズ、あるいはハウリン・ウルフなど、ロックやR&B志向の強いギタリストに人気を博した。
 カスタム・カラーとして、GOLDEN MIST、SILVER MIST、KERRY GREEN、POLARIS WHITE、PELHAM BLUE、FROST BLUE、EMBER RED、INVERNESS GREEN、CARDINAL RED、HEATHER POLYなどが用意され、現在ではコレクターズ・アイテムとなっている。少量生産ではあるが、現在でもギブソンのカスタム・ショップ製として当時の製法をそのままに復刻版が製作され、レア・カラー・モデルも含め、音楽シーンで大いに使われている。まさにレジェンダリ〜!

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